[和歌山・熊野]湯の峰温泉・つぼ湯は熊野詣の湯垢離場・田辺市


壺湯は 熊野詣の湯垢離場


 湯峰温泉の壺湯(つぼゆ)は、熊野古道と同じく2004年7月にユネスコの世界遺産に参詣道の一部として登録された「湯峰温泉の湯垢離の場」です。これはユネスコの中で登録された唯一の温泉として有名です。

 

この壺湯の濁った湯は、1日に7色変色すると言われており、熊野大社へ参拝する方々 がここに立ち寄り「禊」をしたり、天皇が熊野詣をする際に体を清める「湯垢離」をされたと謂われのあるお湯で、歴史のある温泉です。

湯の峰温泉郷 の中、川の中に設えた一坪ほどの小屋、ここが「つぼ湯」です。

最古の共同浴場 と言われています。

 

 

 

『中右記』などにみる垢離(こり)


垢離(ごり)とは、神仏に祈願する前に、水、塩や湯など湯を浴び身心の穢れを取って清めること。

熊野詣において、この垢離の作法、きまりがあったようである。でここでは、『中右記』などにある垢離を抜粋した。

 

[湯垢離(ゆごり)] 湯峰の湯垢離場で、神仏に祈願する前に、湯を浴び身心の穢れを取って清める。

[塩垢離(しおこり)] 岩代(現日高郡みなべ町)の岩代王子を過ぎた所にある「千里浜(ちさとはま)」で海水のみそぎ、塩垢離をするとある。

[潮垢離(しおこり)] 建仁の御幸記で「出立王子(でたちおおじ)」と称する旧西谷村の海岸、「潮垢離浜」で、出立の潮垢離が行われた。ちなみに、藤原宗忠さんは千里浜で潮垢離をすませていたので、ここ出立では行わなかった。

[石田川(富田川)のみそぎ] この石田川の水に足を濡らして渡ることが、熊野山に入るための清めのみそぎと考えられていた。応永年間の参詣記や『平家物語』の維盛の「熊野参詣」のくだりにみそぎの話しが登場する。また川の瀬が変わり瀬渡りができなくなった時は、その瀬渡りの代わりに川の上に御垢離場をつくって禊(みそぎ)を行っていた「いわた川の御氷(おこり)」があったという。


 

 

 

 




湯峰温泉 壺湯の歴史

 

  • 4世紀頃 熊野国造の大阿斗足尼(おおあとのすくね)によって発見されたとされる。その後、歴代の上皇による熊野御幸により広く名が知られる。
  • そして、東光寺に湯屋を建てたとある。江戸時代に描かれた熊野本宮大社蔵の『紙本淡彩本宮末社湯峰図』では、現東光寺本堂の位置に薬師堂、その東隣の「王子権現」の表記がみえ、その手前に「東光寺」、さらにその前に「湯」の表記があるので、ここがその湯屋と考えられる。
  • 平安時代後期の公卿、藤原宗忠の私日記『中右記』の天仁2年(1109)冬10月の熊野詣のところに「谷底に温湯寒水並び出る湯屋有り」とあり、温かいお湯と冷たいお水の両方が出てくることに関心を持ったようで、「誠に希有の事なり 神験にあらざれば あにかくの如き有らんや」と、さらに「この湯を浴する人 万病消除す」とある。
  • 東光寺の本尊は、湯の花が石化して 薬師如来さんの形になった。その薬師如来さんの胸から温泉が出てたんだって。そこで「湯の胸薬師」と呼ばれるようになった。それが、転じて後に「ゆのむね→ゆのみね→湯の峰」になったと伝えられているそうです。

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湯垢離場について


湯垢離の場でもあるこの「壺湯」は、熊野大社へ参拝する方々 がここに立ち寄り「禊」をしたり、天皇が熊野詣をする際に体を清める「湯垢離」をされたと謂われのあるお湯で、歴史ある所である。

また、川の中に設えた一坪ほどの小屋、ここがつぼ湯で、最古の共同浴場 と言わている。

 

湯垢離場 メモ

  • 川の中に設えた一坪ほど。
  • 登録資産目録には、推薦資産として「湯峯温泉」、種別「遺跡・景観」、年代「有史以前」、概要として「熊野本宮大社近くにある湯垢離の場」として登録されている。

 

 

 

 

参考資料とリンク

  • 熊野本宮大社蔵の『紙本淡彩本宮末社湯峰図』
  • 戸田芳実『中右記 - 躍動する院政時代の群像 - 』そしえて, 1979年7月, pp. 77-140
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  • 湯の峰温泉 >熊野本宮観光協会 ⇒ クリック
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2017年05月13日