[鳥取県]岩井温泉(いわいおんせん)・山陰最古の湯



岩井温泉について

岩井温泉(いわいおんせん)は、鳥取県岩美郡岩美町にある温泉。1300年の歴史があるとされ、「湯かむり」という独特の入浴法が伝わる。
開湯は、859年(貞観元年)とされ、延喜式神名帳による「八古湯」の一つ。
開湯伝承のひとつに、清和天皇の時代、藤原冬嗣の子孫の藤原冬久(後の宇治長者)が、若くして皮膚病を患い、絶望して旅に、その旅先の岩井で出会った巫女の神杖で温泉をみつけ、病が治癒した。その後、冬久は巫女をモデルに薬師如来像を彫り、東源寺の本尊としたというものがある。
岩井温泉に伝わる独特の入浴法として「湯かむり」がある。これは、頭に手ぬぐいをのせ、専用の柄杓で湯を叩き、「湯かむり唄」を唄いながら頭に湯をかぶるという江戸時代からの入浴法である。
島崎藤村は、この『山陰土産』の中で湯かむり唄について、以下のように書いている。


「日の暮れる頃に、岩井に着いた。思つたほどの山の中ではなかつたが、しづかな田舍の街道に沿うたところに、私達の泊つた明石屋の温泉宿があつた。そこは因幡國いなばのくにのうちだと思ふだけでも、何となく旅の氣分を改めさせた。湯も熱かつたが、しかし入り心地はわるくなかつた。 …中略… 私はまた宿の主人に所望して、土地での湯かむり歌といふものを聽かせてもらつた。いつの頃からのならはしか、土地の人達は柄杓ひしやくですくふ湯を頭に浴びながら歌ふ。うたの拍子は湯をうつ柄杓の音から起る。きぬたでも聽くやうで、野趣があつた。この湯かむり歌もたしかに馳走の一つであつた。」 島崎藤村「四 山陰道の夏」『山陰土産』

 


  岩井温泉 温泉情報
所在地 鳥取県岩美郡岩美町
泉質 硫酸塩泉
泉温(摂氏) 50℃
湧出量 -
液性の分類 中性


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2017年05月18日